Research

幹細胞と生命を制御する

私たちの体は細胞が集まってできています。幹細胞は、日々新たな細胞を生み出し、置き換え、私たちを支えています。当研究室では、幹細胞を制御し、健康を促進することを目指しています。
特に受精卵に最も近い幹細胞であるナイーブ型多能性幹細胞(ES/iPS細胞)を用いて、初期発生に関わる基礎研究や再生医療を目指した研究を実施しています。また組織幹細胞を理解し、老化したり、ダメージを受けた組織・臓器の機能回復を目指しています。

研究概念図

01
多能性幹細胞
ES細胞やiPS細胞は多能性幹細胞とも呼ばれます。多能性幹細胞は再生医療や創薬を目指した研究の出発点となる細胞です。私たちが研究するナイーブ型多能性幹細胞はより受精卵に近い幹細胞です。このためDNAメチル化レベルが低い等の利点があり、ナイーブ型を利用した臨床用iPS細胞の開発を行っております。一方でエピゲノムの制御を含め、リプログラミングの根幹は不明であり、そのメカニズムを明らかにすることを目指しております。
02
ヒト初期発生研究
ヒトの初期発生は、技術的にも倫理的にも研究が困難でブラックボックスです。私たちは、世界に先駆け樹立したナイーブ型多能性幹細胞を利用し、独自の初期発生研究や幹細胞を利用したヒト胚モデル(胚オルガノイド)構築を行っています。ゴールは、ヒト初期発生の理解と臓器原基の作製、それに続く再生医療への貢献です。
03
幹細胞を利用した臓器再生・リプログラミング
生体内で傷んだ臓器や組織を再生することは究極の再生医療です。私たちは胎盤幹細胞をナイーブ型多能性幹細胞から樹立することに成功しました。この技術を応用し、胎盤のリプログラミングや治療を目指し研究を展開します。胎盤は、妊娠の成立、維持に必須の臓器です。また妊娠高血圧症を含む致命的な疾患を引き起こす原因となります。私たちは、個体内でリプログラミングを行い、臓器再生を行うことを目指しております。
04
霊長類への展開
私たちはヒトの理解を目指していますが、ヒト個体では解析できない研究もあります。そのため動物モデルを開発し、ヒトを理解することは重要です。実際、マウスにおける研究成果は、ヒトの健康を促進するために大きな役割を果たしてきました。私たちはヒトに近い霊長類を解析することで、ヒトの理解に貢献することを目指しています。